3Dマッピング ZEB-HorizonとOrbisのスラムレーザースキャナ比較
概要
ZEB-Horizonは英国GeoSLAM社が製造していたハンディスラムレーザースキャナで、2018年に発売された製品です。その後2022年にGeoSLAM社は米国FARO社に買収され、翌2023年にZEB-Horizonの後継機種として発売されたのがOrbisです。
OrbisはZEB-Horizonではオプション扱いとなっていたカラー点群作成用カメラ(ZEB-Vision)とスマートフォン連携(ZEB-Horizon RT)が基本構成となり、その上でFARO社の高速固定式レーザースキャン技術であるフラッシュスキャン機能を搭載した1台2役のハンディスラムレーザースキャナです。
以下は、ZEB-HorizonとFARO Orbisのハンディスラムレーザースキャナとしての性能を比較・検証したものです。
主要スペック表
ZEB-Horizon | Orbis | |
---|---|---|
LIDARセンサ | Velodyne VLP-16 | Hesai XT32 |
走査線数 | 16本 | 32本 |
ポイント数 | 300 000 p/s | 640 000 p/s |
相対制度 | 6mm | モバイルスキャン 5mm フラッシュスキャン 2mm |
測定可能範囲 | 100m | 120m |
測定角度 | 360° x 290° | 360° x 290° |
カラー点群 | △(オプション) | 〇 |
スマホリアルタイム表示 | △(オプション) | 〇 |
GNNSリアルタイム測位 | △(オプション) | ✖ |
検証用計測
弊社の関連企業が所有する施設内で4級基準点相当の測量を行って検証用の基準点を設置し、そこをZEB-HorizonとOrbisで計測し、精度検証を行いました。
計測は同一日に連続して行い、計測ルートもOrbisのフラッシュスキャン使用時を除き概ね同じルートを通るようにしています。 検証点にはX型の対空標識を設置し、点群から座標を読み取れるようにしました。
結果
・座標比較
計測結果を整理したものが以下になります。
評定点残差(座標変換に使用した基準点における残誤差)においてはそこまで大きな差はないものの、ZEB-HorizonはXY平面斜線長で7㎜に対し、Orbisは5㎜まで短縮しています。またHはZEB-Horizonは10㎜に対し、Orbisは2㎜とかなり改善されています。
検証点較差は大きな差があり、ZEB-HorizonはXY平面斜線長で40㎜に対し、Orbisは18㎜となっています。Hも17㎜に対し12㎜とこちらも改善されています。
いずれにしても、すべての精度項目でOrbisはZEB-Horizonよりも高い精度を出しています。
※値はすべてRMS誤差
・点群比較
次に取得した点群データの比較です。
点群の密度が上がったことにより精細な表現ができている他、点群自体の精度向上によるノイズの減少も見られます。
まとめ
ZEB-Horizonと後継機種のOrbisを比較すると、格段に精度が向上していることが確認できました。日進月歩な5年間の技術革新を実感する結果と言えるでしょう。
ただし、公共測量の観点で言えばZEB-HorizonとOrbisいずれも「LidarSLAM 技術を用いた公共測量マニュアル」の精度要求水準を満たしているため、どちらも使用が可能ということになります。